
「AlexaのデバイスとGoogle Homeのデバイスを一緒に使えないのかな…」
「スマートホームを始めたいけど、どのメーカーを選べばいいかわからない」
「Matter対応と書いてあるけど、具体的に何が変わるの?」
こんなことを思っていませんか?
スマートホームを始めようとしたとき、最初にぶつかる壁が「メーカーごとに専用アプリが必要」という問題です。照明はA社のアプリ、エアコンはB社のアプリ、セキュリティカメラはC社のクラウドサービス、というように、デバイスごとに管理が分散してしまいます。
この問題を根本から解決するために生まれたのが、Matter(マター)という共通規格です。2022年のリリース以来、Amazon・Apple・Google・Samsungといった主要企業が一斉に対応を進め、2026年現在は「スマートホームの共通言語」として市場に定着しつつあります。
今回は、Matterの基本的な仕組みから、2026年版の最新対応デバイスの選び方、実際の設定手順まで詳しく解説します。
- Matterとは何か、なぜ重要な規格なのか
- AlexaやGoogle Home・HomeKitとの関係性
- Matter 1.5で何が新しくなったか
- 2026年に日本で買えるMatter対応デバイスのおすすめ
- Matter対応スマートホームの始め方・設定手順
Matterとは?スマートホームが「メーカーの壁」を超えた理由
スマートホーム市場はこれまで長い間、「各メーカーのデバイスが、そのメーカーのアプリでしか動かない」という構造的な問題を抱えていました。照明・エアコン・カメラとデバイスを増やすほど管理アプリが増え、他社製品との連携が難しいという状況です。
この問題を解決するため、2019年末にAmazon・Apple・Google・Samsungなどが競合関係を超えて結集し、「Project CHIP(Connected Home over IP)」という共同プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは後に「Matter」と改名され、2022年10月に「Matter 1.0」として正式リリースされました。
Matterの開発と管理は、550社以上が参加する非営利標準化団体「CSA(Connectivity Standards Alliance)」が主導しています。Matter 1.0では照明・スマートプラグ・ドアロックなどの基本デバイスからスタートし、Matter 1.3でキッチン家電、Matter 1.4でホームルーターへと対応範囲を広げてきました。そして2025年11月にリリースされたMatter 1.5では、最も期待されていたセキュリティカメラのネイティブサポートがついに追加されています。
Matter対応デバイスを1つ選べば、Alexa・Google Home・HomeKitのどれからでも操作できるようになります。
アプリを使い分ける手間がなくなるだけでなく、将来的に別のプラットフォームへ移行したい場合でも、デバイスをそのまま使い続けられます。初期投資を無駄にしない点は、スマートホームを長く使い続けるうえで大きなメリットになります。
MatterはAlexa・Google Home・HomeKitと何が違う?
Matterとの関係を理解するうえで、まず整理しておきたいのが「プロトコル(通信規格)」と「プラットフォーム」の違いです。
AlexaやGoogle Home・Apple HomeKitは、音声操作やアプリ管理の機能を提供する「プラットフォーム」です。これに対してMatterは、デバイス同士やプラットフォームとデバイスが通信するための「プロトコル(言語)」にあたります。
MatterはAlexaやGoogle Homeを「置き換える」ものではなく、これらのプラットフォームをつなぐ共通言語です。
具体的には、次のような使い方が可能になります。
- SwitchBotのMatter対応デバイスを、AlexaアプリでもGoogle Homeアプリでも操作できる
- 同一のMatterデバイスを、家族ごとに異なるプラットフォームで使い分ける
- 一方のプラットフォームで設定済みのデバイスを、別プラットフォームに「共有」して追加する
また、MatterにはBluetoothやZigbeeなど従来の規格と異なり、Wi-FiとThreadという2つの通信方式が標準サポートされています。Threadは省電力メッシュネットワークを構築するプロトコルで、Matter 1.5 完全解説でも詳しく解説しています。バッテリー駆動のセンサーやドアロックでは、Threadを使うことで電池持ちを大幅に改善できます。

スマートホーム化の徹底解説まとめもあわせてご覧ください。

Matter 1.5の主な変更点:カメラ・エネルギー管理・Thread強化
2025年11月20日にリリースされたMatter 1.5は、スマートホームの標準化において特に重要なアップデートです。2026年3月には細部を改善したMatter 1.5.1もリリースされており、2026年6月現在の最新バージョンはMatter 1.5.1になります。
セキュリティカメラのネイティブサポート
Matter 1.5の最大の進化は、セキュリティカメラへの対応です。WebRTC技術を活用したローカルネットワーク経由の映像ストリーミングが標準サポートされ、メーカー固有のクラウドサービスを使わずにカメラ映像を管理できるようになりました。
Matter 1.5からは、セキュリティカメラもメーカーを問わず統一アプリで操作できるようになりました。
ただし、2026年6月時点でMatter 1.5のカメラ機能を完全に実装しているプラットフォームはSamsung SmartThingsのみです。Apple HomeやGoogle Home・Alexaは実装中で、現状では従来のHomeKit Secure VideoなどのAPIに依存しています。
クロージャー(開閉機構)の統合
電動シャッター・ガレージドア・カーテン・ブラインドなど、住宅内外のあらゆる「動く構造物」を統一規格で管理できるようになりました。日本では三和シヤッター工業のシャッターやYKK APの窓製品との将来的な連携が期待されています。
エネルギーマネジメントの強化
電力料金の時間帯別変動情報(TOU)や、EV(電気自動車)への双方向充電(V2G)のサポートが追加されました。将来的にはMatter対応デバイスが電力価格を自動判断し、最適な時間帯に充放電を行う仕組みの構築が可能になります。
2026年おすすめMatter対応デバイス
日本国内で実際に購入できるMatter対応デバイスは、2026年現在でかなり選択肢が揃ってきました。用途・予算別に代表的な製品を紹介します。
ハブ(コントロールセンター)
SwitchBot ハブ3(約14,980円)
SwitchBotの最新フラッグシップモデルです。前面の2.4インチIPSディスプレイに室温・湿度・天気予報などを表示でき、本体のダイヤルとカスタムボタンでスマートフォンなしに直感的な操作が可能です。Matterブリッジとして最大30台のサブデバイスを他のプラットフォームへ接続できます。自社製品が豊富なので、スマートホーム全体をSwitchBotで揃えたい人に最適です。
Aqara Hub M3(約21,780円)
Zigbee・Thread・Matterの3プロトコルに対応した多機能ハブです。Apple HomeKitとの親和性が高く、ローカルAI処理によるセキュリティの高さが特徴です。Thread Border Router機能も内蔵しており、Thread接続のバッテリー式デバイスとの組み合わせに向いています。
スマートロック
美和ロックの「PiACK HOME PG」は、国内の鍵メーカーとして初めてMatter規格とThread規格に対応したスマートロックです。既存の錠前に追加工なしで設置でき、スマートフォンだけでなくMIFAREカードでの施解錠も対応しています。電波環境が厳しい玄関金属扉周辺でも安定した通信を実現するThread採用が国内製品として注目されています。
低予算で試したい場合
TP-Link Tapo H110(約3,580円)はMatterブリッジ機能付きのエントリーハブです。まずコストを抑えてMatterを試してみたい場合の入門機として優れた選択肢です。
Matter対応スマートホームの始め方
Matter対応スマートホームを始めるには、まずどのプラットフォームを中心に使うかを決めることから始めます。
ステップ1:プラットフォームを選ぶ
現在主流の選択肢は次の4つです。
- Amazon Alexa:Echo Dot・Echo等を持っていれば追加コストなしでスタートできる。日本での普及率が高い
- Google Home:AndroidスマートフォンやGoogle Nest製品との連携がスムーズ
- Apple HomeKit:iPhoneユーザー向け。セキュリティが高く、FaceIDとの連携も強み
- Home Assistant:上級者向けのローカル処理プラットフォーム。カスタマイズ性が最も高い
1つのMatterデバイスは複数のプラットフォームに同時登録できるため、将来的に乗り換える場合もデバイスを買い直す必要はありません。
ステップ2:Matter対応ハブを確認または購入する
すでにEcho Dot(第5世代)やNest Hub等を持っている場合、それ自体がMatterコントローラーとして機能します。新たに購入する場合は、上記のSwitchBot Hub 3・Aqara Hub M3などから選ぶのがおすすめです。
ステップ3:Matterデバイスをペアリングする
設定の流れは各プラットフォームで基本的に同じです。
1. Alexaアプリ・Google HomeアプリなどでデバイスをWi-Fiネットワークに接続 2. 「デバイスを追加」→「Matter」を選択 3. デバイス本体またはパッケージのMatter QRコードをスキャン 4. 画面の指示に従って完了(通常3〜5分)
初回セットアップで詰まりやすいのは「デバイスとスマートフォンが同じWi-Fiネットワークにいるか」という点です。ここを確認するだけで、多くの接続トラブルは解決します。
ステップ4:自動化を設定する
Matter対応デバイスを揃えたら、自動化(オートメーション)の設定が便利さを大きく引き上げてくれます。例えば「帰宅すると照明が自動でオンになる」「温度が28度を超えるとエアコンが起動する」といった設定を、各プラットフォームのアプリから直感的に組めます。
SwitchBot Hub 3の場合、スマートフォンアプリを使わなくても本体のダイヤルで特定の自動化シーンを呼び出せる機能が、家族全員が使いやすいスマートホームを実現するうえで特に好評です。
まとめ
Matterは、これまで各メーカーが独自に構築してきたスマートホームの世界を、一つの共通言語でつなぐための規格です。AlexaやGoogle Home・HomeKitを置き換えるものではなく、これらのプラットフォームを横断して使えるようにするための橋渡し役です。
2025年11月にリリースされたMatter 1.5では、セキュリティカメラのネイティブサポートとエネルギーマネジメントの強化が実現しました。ただし、カメラ機能のフル活用はApple・Google・Amazon側のソフトウェアアップデートが完了する2026年後半以降になる見込みです。
日本国内では、SwitchBot Hub 3・Aqara Hub M3・Nature Remo Lapis・TP-Link Tapo H110など、Matter対応ハブの選択肢が揃ってきました。用途・予算に合わせて選ぶと、スムーズにMatter対応スマートホームへ移行できます。
まずはすでに持っているAlexaやGoogle Nestの機器がMatterに対応しているか確認してみるのがおすすめです。追加投資なしでMatterを試せるケースも多いため、気軽に一歩を踏み出してみてください。
















































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